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2017/02/26

合唱曲《虹》の分析

おはこんばんにちは。みなさんお元気ですか。

最近、色々なところを動き回っていたためか、風邪をひいてしまいました。
年度末は大変な時期ですから、皆さんも風邪には気をつけてくださいね。

ちな僕は3月の中頃に開業届を出す予定です。
これで僕も個人事業主だよ。やったね!!



さて今回は珍しく真面目に。
まずはこれを聴いてみてください。






「森山直太朗・御徒町凧 作詞・作曲/信長貴富 編曲」だそうです(楽譜より)。

2006年作曲ということで、僕よりいくつか下の世代の方が歌ったことがあるのではないでしょうか。

僕の9つ下の弟も、すきま風よりも頼りないカスみたいな口笛で吹いていたので、きっと人気なのでしょうね。

つーことで、分析開始。

ちなみに楽譜と詞の全文は著作権の関係で載せられないので、手持ちの楽譜で対応してくだぱい。あと3小節目なら(3)という風に略記しますね。


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変ホ長調、4分の4拍子。最後まで転調せず。

(1)から和音の役割が曖昧です。色々な音が付加されていて低音がないため、ふわふわと宙を漂っている感じ。


その後は少しずつ低い音が出てきて、(4)でようやく最低音が出ます。でも相変わらず和音は付加音が多い。本来ならBb7のはずなのに、和音を縦方向に伸ばしたシ♭、ファ、ラ♭、ド、ミ♭になっています。コードならF7/Bbで良いかな。


そこの音形全体が低いところからアーチをかけていて、何かの形を暗示しているかのようです。歌も微妙に現れてくるだけで、煙が消えるような感じ。

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Aの部分に入ります。相変わらずの和音への付加音。柔和な響きを演出しています。

変ホ長調なのに(6)にレ♭が出てくる驚きたるや。下属調の変イ長調に持っていきたいみたいですね。和音的にはサブドミナントであるIVへの方向性が強いので、サブドミナント独特の優しさ、みたいなものを表現するためのレ♭でしょうか。

構成としてはAメロ前の準備みたいな感じでしょうか。男声がいないことも、優しさだったり柔和な響きに繋がりますね。

ちなみに言葉をはっきりと聴かせるためか、ホモフォニックに編曲されています。

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Bの部分では対照的に男性のしっかりした入り、かつポリフォニックに始まります。

伴奏も少し動きを演出していますね。(15)の「指を立て」でホモフォニックになる理由は何か、考えてみると良いかもしれません。

(16)で新たな半音階の下行が登場しました。直後にソプラノにも出てきますが、これらは(11)の男声を受けていますね。ちなみにここのGb7は次の小節のF9のドミナントです。

(19)ではベースのファ→シ♭→ミ♭のドミナントモーションが登場し、フレーズ的に終始させようとしてるのに、メロディーは(21)に向かおうとしているんですよね。

男声には相変わらず半音階が出てきます。ここでド♭はドミナントの中に吸収されてBb7(-9)という和音を形成します。短9度は本来不協和なんですけど、素敵ですよね。

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(21)では久々にホモフォニックな部分です。安心。コード進行は4536の王道パターンを変形しています。

先ほどの短9度が(24)にも現れます。ドとレ♭ね。ちなみに短9度の上の音は常に半音下の音に向かう性質があるので、レ♭→ドというラインがしっかりここにも現れています。


(27)は素敵な演出ですよね。アルトのしっかりした声で歌詞を聴ける、最高。

このあとはサビに向かいますので、音量的にも音域的にも増大していきます。ちなみにピアノ伴奏の中に上行する半音階が隠れています。これらがサビへの期待感を増しつつ、(30)で開放感みたいなものを感じさせてくれるわけです。

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サビ頭はソプラノと男声が同じメロディーを追いかけます。

相変わらずレ♭がいますね。(32)のアルトは長くみるとソ→ソ♭→ファ→ミというラインが見えますね。むしろ(33)の最初の音をなぜFにしなかったのか、というところで小一時間議論に花を咲かせられます。

歌詞にスポットを当てます。サビ頭の詞はパワーがありますよね。出会い=別れってどういうことなんだろう、と。

「雨上がりの坂道」という言葉はその後の言葉と微妙に対になっています。ただ、この言葉自体は後に続くものがないので、(34)だけが音楽的には浮きだった部分に聞こえるはずです。

おお、ここにもアーチが隠れていますね! その後の「ル」に関しては僕は推測すらできない不思議な部分です。何で16分休符があるんだろう。

(41)で急に音量的・音域的に落ち着くのは(27)を思い出しますね。

サビ全体が4+1+4+5っていう分割になっていますが、言葉を優先した上で音楽に不自然な部分を持たせないってのはすごいな〜って思います。

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間奏に入ります。高いところで動いているピアノが幻想的ですね。

ここはうるさくなりすぎてはいけませんが、ダイナミクスには忠実に。特に(45)のpの部分は強くなりがちなので、あえてpと書いているはず。

4325という和音進行で少しずつ下がってきてドミナントに落ち着く。三善アクセントをどう処理するか、それが問題です。

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Fにきました。Bメロの形を変えた再現です。男声がメロディ、だけど息混じりに優しく歌いたい、そんな気持ちにさせてくれます。

女声が入ったところでしっかり歌う、それはアルトだけになる部分のコントラストを明確にするために。

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ってなことで2番サビ。(67)の後半にあるのは小さなアーチでしょうか。

初めて曲名にも使われている「虹」という言葉が出てきます。言葉が聴こえるようにポリフォニックではなくなっていますね。一番では収まっていたのが、molto crescendoに変わっています。

そしてまたもやあのアーチ。音楽的には半終止。ドミナントで曲が一旦中断されます。

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中断されてIVに向かうのね。普通VIに向かうところをIV7に向かわせて、心がキュッとなる和音になっています。

急に1人(もしくは2人)で歌うのってすごい効果的ですよね。詞の中にある「君」という言葉を強く実感させてくれますし。poco meno mossoはちょっとテンポを抑える感じ。(74)のpoco accel.とcrescendoが際立ちます。

伴奏は必要最低限に抑えられています。ここで掻き鳴らされたら雰囲気ぶち壊しですもんね。(74)でピアニスティックな見せ場が登場し、素敵な詞が曲を終わりに向かわせます。

(80)では今まで忘れていたであろう、冒頭の音形。いやらしい! 悔しい!

ここまで色々な話があって、色々な音を聴いて、最後にこれを聴かされた印象って曲頭とは全く違うじゃない! あまりの情報量に頭がパンクしちゃいます!

そして(81)ね。フェルマータでも休符でもない、空白。余韻を楽しみましょう。

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これを中学生に、限られた時間内で話すのは無理ですよね。
でも俺はここまで考えて歌っているのよ〜。

もちろん全て推測なので、変な部分もあるとは思いますが。

歌う練習はもちろん良いんだけど、考え無しに歌うのって「作業」になっちゃうから、もう少し「音楽」にしてほしいな〜って思う時があります。


ってな感じ。

何かあったらコメントとかオネシャス。